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リンパ浮腫の管理と治療

セラピスト向けガイド：
リンパ浮腫ケアの保険適用と臨床プロセス

リンパ浮腫治療法（Lymphedema Treatment Act, 2024年1月施行） は米国医療制度における画期的な転換点となり、メディケアPart Bで着圧衣、包帯用品、関連アクセサリーが正式にカバーされるようになりました。しかし、この新しい制度を円滑に利用するには、臨床的ベストプラクティス（複合的理学療法＝CDT）と保険者特有の文書要件の両方に精通する必要があります。

セラピストは縮小期の開始、経過の記録、処方医との連携、採寸や物品発注の調整に重要な役割を担います。文書の不備はすぐに支給遅延につながりますが、的確な連携により、患者は縮小期から維持期へスムーズに移行できます (CMS, 2024; Noridian, 2024; ILF, 2020)。

1. 保険適用概要:

第1段階 – 縮小期（CDT）

  • カバーされる物品：短伸縮包帯、フォームパディング、コットンライナー、コヒーシブラップ。

  • セラピーセッション：従来のPT/OT外来リハビリ給付でカバーされ、セラピー上限や医学的必要性レビューの対象となる。

  • 頻度：理想は毎日CDT。しかし実際は保険や人員制約により週2〜3回が多い。患者や介護者への自己包帯指導が必須 (ILF, 2020; NCCN, 2025)。

 

第2段階 – 維持期

  • 昼用着圧衣/ラップ：患部1部位につき6か月ごとに最大3枚まで。

  • 夜用着圧衣：患部1部位につき2年ごとに最大2枚まで。

  • 付属品：ドンニング/ドッフニング補助具、パディング、グローブ、フットスリップ、ライナー。

  • 空気圧ポンプ（PCD）：4週間以上の保存療法（包帯・着圧衣・運動・挙上）で十分な改善が得られなかった場合に、NCD 280.6に基づきカバー (CMS, 2024)。

2. 詳細な文書化の必須要件:

請求成功には処方医の署名入りで具体的な記載が不可欠です。セラピストは詳細な記録を処方医・サプライヤーに提供すべきです。

 

処方に必要な要素：

  • 診断コード：I89.0（リンパ浮腫）、I97.2（乳房切除後）、Q82.0（先天性）など。

  • 患部の部位：右上肢、左下肢、両側、体幹。

  • 製品の種類：例「短伸縮包帯セット」「カスタムフラットニットスリーブ＋グローブ」「夜用フォームチップガーメント」。

  • 圧迫圧（mmHg）：着圧衣では必須。

  • 適合区分：標準品 vs カスタム。カスタム必要性を明記（不整形、線維化、市販品不耐など）。

  • 数量と交換頻度：メディケアのスケジュールに準拠。

  • 付属品：明確に記載（例：関節炎のためドンニング補助具、脆弱皮膚のためパディング）。

  • 医学的必要性：蜂窩織炎の再発予防、浮腫維持管理、ADL保持など。

  • 進捗記録：CDT前後の周径・体積変化を数値で提示。

​​

文書化例：

  • 縮小期物品・Reduction supplies:
    “Patient with Stage II secondary lymphedema of LLE (I89.0). Requires multilayer CDT bandaging: short-stretch bandages, Rosidal foam, and cotton liners. Bandaging medically necessary for reduction phase. Prescribed quantities: 4 sets per limb to allow rotation and hygiene.”

  • 維持期ガーメント・Maintenance garments:
    “Following stable reduction, patient requires custom flat-knit sleeve and glove, 30–40 mmHg, left UE. Custom indicated due to irregular limb shape and tissue fibrosis. Three garments ordered per 6-month allowance. Nighttime garment prescribed (quilted foam construction, 2/2 years). Donning aid required due to decreased grip strength.”

  • ポンプ処方・Pump order:
    “Persistent limb swelling despite 4 weeks of supervised CDT, including bandaging, garment use, exercise, and elevation. Girth reduction <5%. PCD E0651 ordered for home management. Physician oversight established.”

3. 臨床ワークフロー（ステップごと）：

ステップ1：初期評価

  • ISLステージ、周径・体積（ペロメトリー等）、皮膚状態、線維化、感染歴、機能障害を包括的に評価。

  • 基準値を文書化し、PT/OT評価コードで請求。

 

ステップ2：縮小用物品の処方

  • 診断・部位・用品・頻度・必要性を含むテンプレートオーダーを医師に提供。

  • 包帯用品はLTAにより別枠でカバーされる点を強調。

 

ステップ3：CDT縮小期

  • MLD、運動、多層短伸縮包帯を実施。

  • 理想は毎日だが、外来現場では週2–3回が一般的。

  • 客観的に記録（例：「10回施行で下腿周径2.5cm減少」）。

 

ステップ4：縮小 → フィッティング移行

  • 体積安定後、着圧衣へ移行。

  • セラピストが採寸する場合と、ベンダー所属または独立した認定フィッターに紹介する場合がある。

 

ステップ5：処方医との連携

  • 周径データ、縮小経過、推奨内容を送付。

  • 標準 vs カスタムの根拠、必要な付属品を明記。

 

ステップ6：維持期製品の処方

  • 医師が詳細な処方箋に署名（診断・ガーメント種類・mmHg・交換頻度・付属品・根拠を含む）。

  • サプライヤーが正しいHCPCSコードで請求（新Aコード、カスタムはNOCコード）。

 

ステップ7：維持期

  • 毎日の着用指導、皮膚チェック、感染予防教育。

  • フォローアップでフィット確認。耐容性・順守状況・合併症を記録。

 

ステップ8：ポンプ紹介検討

  • 適切にCDTを実施しても腫脹が残存する場合、保存療法失敗を記録し、NCD 280.6に基づきPCDを申請。

4. サプライヤー（ロサンゼルスおよびオンライン）：

対面

  • Active Life Medical (West LA)：ガーメント、採寸、DME供給

  • BioHorizons：カスタムガーメント、採寸、ポンプ調整

  • Apria Healthcare：包帯、基本的ガーメント供給

  • 病院付属DMEショップ（Cedars-Sinai, UCLA）

 

オンライン（全米）

  • LymphedemaProducts.com

  • CompressionGuru.com

  • BrightLife Direct

 

👉 DMEPOS認定・メディケア登録を必ず確認。「accepts assignment（受領委任）」を確認して予期せぬ請求を防ぐ。

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科学的参考文献（Scientific References）:

  • Centers for Medicare & Medicaid Services. (2024). Lymphedema compression treatment items benefit.

  • Centers for Medicare & Medicaid Services. (2024). NCD 280.6 – Pneumatic compression devices.

  • International Lymphoedema Framework. (2020). Best practice for the management of lymphoedema.

  • Lymphedema Advocacy Group. (2024). Implementation and coverage updates.

  • Medicare.gov. (2025). Your Medicare coverage: Lymphedema items.

  • National Comprehensive Cancer Network. (2025). Survivorship guidelines.

  • Noridian DME MAC. (2024). Lymphedema FAQs and documentation updates.

  • Reich-Schupke, S. (2019). Compression therapy: Indications and evidence.

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