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一般的な健康とウェルネス

Mostability
(モスタビリティ):

動きのしなやかさと安定性

呼吸は1日に何千回も無意識に行っていますが、「どう呼吸するか」によって体の状態は大きく変わります。正しい呼吸法を身につけることで、ストレスを和らげ、肩や首のこりを改善し、心臓や肺の健康までサポートできます。毎日数分の練習で、呼吸はあなたの「最も身近で強力な健康ツール」になるのです (Russo et al., 2017; Jerath et al., 2006)。

なぜMobility(しなやかさ)とStability(安定性)が大事なのか:

四角いタイヤのスポーツカーを想像してみてください。どんなに強力なエンジンを積んでいても、うまく走ることはできません。体も同じで、筋力があっても硬すぎたり、柔らかいけどグラグラしていたら、思うように動けません。生活の中でしっかり動くためには、Mobility(動きのしなやかさ・自由さ)とStability(動きをコントロールする力・安定性)の両方が必要です。

 

私はこの2つを合わせて 「Mostability(モスタビリティ)」 と呼んでいます。自由さとコントロールが絶妙にかみ合った、理想のバランスです。

MobilityとStabilityって何?:

  • Mobility = 関節がどれだけスムーズに動くか。油のさされた蝶番のように、棚の上の物を取ったり、靴ひもを結んだり、車の後ろを振り向いて確認したりするときに役立ちます。

  • Stability = その動きをコントロールする力。ブレーキやハンドルのような役割で、これがなければグラグラしてしまいます。

 

Mobilityだけだと「ふにゃふにゃ麺」のように安定せず、
Stabilityだけだと「さびついたドア」のように動きが固まってしまいます。
Mostability = 自由に動けて、しかも安定している状態。

なぜ一般の人に必要なの?:

  1. 日常生活がラクになる:買い物袋を持つ、子どもと遊ぶ、ガーデニングをする、イスから立ち上がるなど、すべてがスムーズに。

  2. ケガの予防:MobilityやStabilityが不足すると、転倒、腰痛、スポーツでのケガのリスクが高まることが研究で分かっています(Behmら, 2010; Hibbsら, 2008)。

  3. 老化に負けない:Mostabilityを保つことは、高齢になっても自立して生活するためのカギです(Studenskiら, 2011)。ソファから起き上がるのにクレーンが必要になるのは避けたいですよね。

  4. パフォーマンス向上:アスリートでなくても、体が動きやすければ山登りやダンスなど、どんな活動も楽しく自信を持って取り組めます。

 

豆知識:床から手を使わずに立ち上がれない人は、6年以内に亡くなるリスクが立ち上がれる人の5倍以上という研究があります(de Britoら, 2012)。Mostabilityは長生きにも関わっているのです。

どうやって鍛えるの?:

体をヒーローチームだと考えてみましょう。あるヒーローは体を柔らかくし、別のヒーローは安定させます。そしてチームとして力を合わせるとき、真の力=Mostabilityが生まれます。

  • Mobilityエクササイズ:ストレッチ、ヨガ、フォームローラー、動的ウォームアップなど。例:背骨をほぐすキャットカウや、股関節の柔軟性を高める動き。

  • Stabilityエクササイズ:体幹やバランスのトレーニング。例:プランク、バードドッグ、片脚立ち。いわば「グラグラ防止」トレーニングです。

  • 組み合わせの動き:スクワット、ランジ、腕立て伏せ、ブリッジなど。筋力・安定性・柔軟性を同時に鍛えるマルチタスク運動です。


アスリートの例:ウエイトリフターの中には、とにかく重量を上げることばかりに集中してMobilityを忘れる人もいます。車を担いでスクワットできるほど強くても、頭上に腕をまっすぐ伸ばすとき腰を反らさないと届かない…。まるで「クッキーを取ろうとするティラノサウルス」です。筋力があってもMobilityが足りないと、パフォーマンスもケガのリスクも高まります。

面白い真実:

多くの人はMobilityを失っていることに、子どもと一緒に床に座ろうとして「キリンのヨガ」みたいになったときに気づきます。また、Stabilityの不足は歩道のちょっとした段差でつまずいて「即興ブレイクダンス」しかけたときに発覚します。


Mostabilityを鍛えるのは、ジム好きのためだけではありません。硬さやグラつきを減らし、自信を持って動くために、誰にとっても必要なことなのです。

まとめ:

Mobility = 動きの自由さ
Stability = 動きのコントロール
Mostability = 最高のコンビネーション


Mostabilityを手に入れることは、健康に長生きし、若々しく、安全に動ける体をつくるための秘訣です。

参考文献

  • Behm, D. G., Drinkwater, E. J., Willardson, J. M., & Cowley, P. M. (2010). The use of instability to train the core musculature. Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism, 35(1), 91–108.

  • Hibbs, A. E., Thompson, K. G., French, D., Wrigley, A., & Spears, I. (2008). Optimizing performance by improving core stability and core strength. Sports Medicine, 38(12), 995–1008.

  • Studenski, S., Perera, S., Patel, K., et al. (2011). Gait speed and survival in older adults. JAMA, 305(1), 50–58.

  • de Brito, L. B. B., Ricardo, D. R., Araújo, D. S. M. S., Ramos, P. S., Myers, J., & Araújo, C. G. S. (2012). Ability to sit and rise from the floor as a predictor of all-cause mortality. European Journal of Preventive Cardiology, 21(7), 892–898.

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