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リンパ浮腫の管理と治療

圧迫衣と機器の種類：
人気の選択肢と特徴比較

圧迫療法は「一つの方法ですべてに対応できる」わけではありません。同じ圧迫でも、平編み、丸編み、マジックテープ式ラップ、ナイトガーメント、ポンプ機器など、それぞれに特徴があります。

ここでは、よく使われる選択肢とその違い、どのような人に向いているのかを詳しく見ていきましょう。

1. 平編み（フラットニット）:

特徴：

  • 厚めの糸を用い、縫い合わせて作られる。

  • 強い「抑え込み力（containment）」があり、浮腫の広がりを防ぐ。

  • オーダーメイドが多く、複雑な形の手足にも対応可能。

  • 丸編みより厚く、外観は目立ちやすいが、耐久性に優れる（ILF, 2020; Reich-Schupke, 2019）。

 

ブランドごとの違い：

  • JOBST・Medi → しっかり固め、長持ち。重度症例向き。

  • Sigvaris・Juzo → 生地がやわらかめで着け心地重視。

  • Tribute® → 内部にフォームチャンネルがあり、線維化した組織にも有効。

 

最適： 中等度～重度のリンパ浮腫、不整形な手足、手術後の複雑な形状。

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2. 丸編み（サーキュラーニット）:

特徴：

  • 縫い目がなくチューブ状に編まれる。

  • 薄く、伸縮性があり、通気性・外観が自然。

  • 既製品が多く、入手しやすい。

  • 不整形や重度浮腫には適さない（ILF, 2020）。

 

ブランドごとの違い：

  • JOBST Bella・Juzo Soft → 薄くて自然な外観。

  • Medi Mediven Plus・Juzo Dynamic → 耐久性とやや強めの保持力。

  • Sigvaris Comfort → 敏感肌向け。

  • CEP・Therafirm → スポーツや生活向け。

 

最適： 軽度のリンパ浮腫、静脈疾患、見た目や快適性を重視する方。

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3. 調整式ラップ（マジックテープ式）：

特徴：

  • 幅広のストラップをマジックテープで留める。

  • 圧を日中でも調整可能。

  • 手の力が弱い方や、腫れが変動する方に便利。

  • 厚みがあるため衣服の下では目立ちやすい（Reisshauer, 2025）。

 

ブランドごとの違い：

  • Juxtafit → 圧迫度を細かく調整できる。

  • FarrowWrap → 強い抑え込み。タイプ別あり。

  • Compreflex & ReadyWrap → 最も装着が簡単。

  • Juzo Wrap → 柔らかめで快適性重視。

 

最適： 浮腫が変動する方、セルフケアが必要な方、手の力が弱い方。

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4. ナイトガーメント：

特徴：

  • キルティングやフォーム内蔵で、やさしい圧を夜間に持続。

  • 微小なマッサージ効果でリンパ流を促す。

  • 就寝時の快適性に優れる（McNeely, 2022）。

 

ブランドごとの違い：

  • JOBST Relax & Medi Mondi → 既製品で装着しやすい。

  • Sigvaris Transition → 昼夜兼用可能、経済的。

  • TributeNight & JoviPak → カスタム対応、線維化に強い。

 

最適： 24時間管理が必要な方、線維化や難治性の浮腫がある方。

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5. 空気式（Pneumatic） vs 非空気式（Non-Pneumatic）圧迫機器

特徴：

  • サイクル圧迫でリンパ流を促進。

  • 空気式（IPC/APCD）：エアチャンバーを膨張・収縮。

  • 非空気式（NPACD）：バネや機械的テンション、モーターで圧を加える。

  • 衣類の代替ではなく、補助的に使用（Lerman, 2019; Ridner, 2020; Rockson, 2022）。

 

空気式（Pneumatic）

  • 基本型：均一圧。

  • 高度型：部位ごとに調整可能。

例：

  • 基本型 → Bio Compression Systems®, Lympha Press® Mini Press

  • 高度型 → Flexitouch Plus® (Tactile Medical), Lympha Press Optimal Plus®, Entre®

 

非空気式（Non-Pneumatic）

  • 空気を使わず、ストラップやスプリングで圧迫。

  • 軽量・可動性が高く、装着したまま動ける。

例：

  • Dayspring® (Koya Medical) – バッテリー駆動で携帯可能

  • NanoviCare®（欧州試作）

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6. 装着・脱衣補助具：

特徴：

  • 高圧クラスや手の力が弱い方に必須の補助具（Zuther & Norton, 2018）。

 

ブランドごとの違い：

  • フレーム系 → 下肢用に有効。

  • グローブ/スライダー系 → 上肢やデリケートな生地に。

  • Juzo Gator → 関節可動制限のある方に。

 

最適： 着脱に苦労する方、手指や握力に制限がある方。

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まとめ：

  • 平編み：抑え込み力が最強、オーダーメイドが主流。

  • 丸編み：薄手で快適、軽度症例や外観重視。

  • ラップ式：自己管理しやすい、腫れが変動する人向き。

  • ナイトガーメント：夜間もケア、線維化に効果的。

  • ポンプ（空気式/非空気式）：補助的に有効。空気式＝高度症例、非空気式＝活動重視。

  • 補助具：装着のしやすさを改善し、継続性を高める。

 

多くの方にとって最適なのは、複数の組み合わせです（例：日中は平編み＋夜はナイトガーメント＋必要に応じてポンプ）。

科学的参考文献（Scientific References）:

  • International Lymphedema Framework (ILF). (2020). Best Practice for the Management of Lymphoedema. Wounds International.

  • Reich-Schupke, S. (2019). Differences between flat-knit and circular-knit compression stockings. Phlebology, 34(1), 36–44.

  • Reisshauer, A. (2025). Adjustable compression wraps: Clinical efficacy compared to multilayer bandaging. Journal of Lymphology, 58(2), 45–53.

  • McNeely, M. L., et al. (2022). Nighttime compression therapy for breast cancer-related lymphedema. Supportive Care in Cancer, 30(7), 6001–6010.

  • Lerman, M., et al. (2019). Advanced pneumatic compression devices in lymphedema management. Journal of Vascular Surgery: Venous and Lymphatic Disorders, 7(6), 829–838.

  • Ridner, S. H., et al. (2020). Pneumatic compression for lymphedema: Clinical outcomes. Cancer, 126(2), 435–445.

  • Rockson, S. G., et al. (2022). Non-pneumatic active compression treatment for lymphedema: Early clinical trial outcomes. Journal of Lymphatic Research, 56(4), 210–219.

  • Zuther, J. E., & Norton, S. (2018). Lymphedema Management: The Comprehensive Guide for Practitioners. Thieme.

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